このたび東京モートロニクスの主力製品である超多極ブラシレスモータが、トヨタ自動車株式会社 ヒューマノイドロボット「T-HR3」の操縦システムの一部に採用されました。今回はその状況についてご紹介したいと思います。
ヒューマノイドロボットに求められるモータとは
ヒューマノイドロボットに求められる要素の一つとして力の加減を伝えると言う新しい役目があります。極めて高い感覚を持っている人間の指先の動きをロボットに伝えるためには、非常に精細な動きをリニアに伝えるだけでは不十分です。
それは「触る」という動きだけではなく、「感じる」と言った表現に近い動きも要求されていきます。
動力だけでなく力の加減をモータで表現する
トヨタ自動車株式会社様のヒューマノイドロボット「T-HR3」のマスター操作システムの中で小指を除く8本の指関節部に力触覚デバイスとして当社の超多極モータが採用されました。
ロボットに力加減を伝えるには追従性が良く滑らかな動きでなくてはなりません。
東京モートロニクスはこれまで、微細加工と組込み技術にアイディアを織り込み、様々な製品化を実現してまいりました。
本件の条件を適えるには、サイズのカスタマイズ性が高くリニアな動きを可能とし低速で高トルクな特性を持つ超多極ブラシレスモータが必要ではと思いました。
同製品は本来外形Φ94ですが、微細加工と組込み技術が指関節に近いサイズのモータ径φ25まで小型化すると同時に超多極化を可能にし、人の指が持つ滑らかで精細な動き=ヒューマノイド化を実現しました。
モータが担う人とロボットの未来
日本においては少子化が進んでおり、今後も深刻な人材不足は続くものと見られており、そうした中で産業界ではロボットでそれを補う動きが活発になってきております。
そこで活躍するロボットというのは、これまで想像していた機械じみたものだけではなく、ヒューマノイドロボットである可能性もあるでしょう。
重いものを持つときはしっかりと力強く握り、人に触れる時には赤ちゃんに触れるかのような繊細な動きを、自ら判断して行う。
それを可能にするのはモータであり、動力というこれまでのステージから、人間の感性伝達と言う未知の領域へ挑戦しているものと考えております。